【エッセイ】このままが嫌なら前に進むしかない

何をしても、心にぽっかり空いた穴は埋まる気がしない。

多分、この感じはしばらく続くのだろう。

正直なところ、かなり辛い。

たとえ好きなことをやっていても、何かに引きずられるように、記憶が蘇る。

思い出せば辛くなることは知っているのに。

それほどまでに一緒にいた時間が長かったということなのだけれど、これほどまでに心的に辛いことと知ったのは、今回がきっと初めてだったのだ。

これまでにも、何度もフラれたことはあるし、そっちのメンタルは強いと思っていた。

でも、重ねた時間が長い分、それだけ喪失感も大きく、少し長引きそうだ。

心的な辛さというものは、風邪と同じだという人がいる。

「心も風邪を引く」などと聞いたことがあるのかもしれない。

多分、今まさにその状態なのだ。

風邪を引いて初めて、喉が痛くなって、「ああ、なんて苦しいんだろう」とか「喉が痛くないことは当たり前だけど、そんな当たり前は幸せなことだった」などと思うようになる。

一緒に居られなくなって初めて感じた痛みとか、もう話す事もできないとなって感じた痛みも、喉の痛みと同じだ。

これらの痛みは経験したことがないわけではないけれど、あまりに痛みを感じなかった期間が長かったから、今までとの落差のために痛みが大きいのだ。

それでももう終わったことなのだ。

元通りになることはない。

何を後悔したところで、全て後のまつりで、どうする事もできない。

だから、できることはただひとつだ。

それは、前に進むこと。

次に進むことである。

痛みがあろうが、記憶のせいで強制的に振り返って悲しくなっても、次へと進むために、歩みを止めないことしかないのだ。

じゃないと、ずっとこのままだ。

いきなり長い距離を進むことは難しいけれど、止まらずに一歩ずつ進むことはできる。

最低限の一歩なのかもしれないけれど、今はこれしかないのだ。

進もう。