【エッセイ】ひとり旅が心をごまかす

ひとり旅を継続することにした。

本当は2泊程で終わりにするつもりだったが、予定を変更した。

理由をくどくど言うつもりは無く、単純に車中泊の旅が続けたくなったのだ。

車中泊で、しかもひとり旅ともなれば、自由そのものであり、時間も予定も何も気にする必要が無い。

まさしく、旅である。

ただ、さすがにコロナ禍ということだけは気にしなければならなく、人混みだけは避けてのひとり旅となっているが、それ以外は、本当に何もかも自由である。

僕はこんな旅をしたいと、ずっと思っていた。

せいぜい目的地ぐらいを決めて、そのほかを何も決めずに、行き当たりばったりの旅を夢見ていた。

僕は、失恋のショックと、仕事の暇でこの旅に出ている訳なのだが、多分こんなに自由な旅は、皮肉にもひとりでないと成立しないのではないかと思っている。

泊まる場所は、決して広くない車の中だし、道の駅をハシゴしてそこに泊まる。

これを繰り返しているのだ。

こんな旅を好まない方も、もちろんいるだろう。

だからこそ、ひとりで一定の時間を有する時にしかできないと思ったあのである。

一方で、僕は、やはり誰かと一緒に生活したいと強く思っている。

新しいパートナーとも出会いたい。

ただ、今この瞬間は、ひとりで自由に旅できる事が、やはり楽しいと感じるのだ。

きっとパートナーができたら、パートナーと旅をしたくなるだろうから、今のうちに目一杯にひとりを楽しもうとしているのだろう。

部屋で過ごしたら、押しつぶされそうな心を、行き当たりばったりの生活が、うまくごまかしてくれるのだ。

だから苦しまずに、モヤモヤせずに済む。

ずっと前から、「なんで失恋すると旅に出る人がいるのだろう」と思っていたが、今の僕ならその理由がわかる。

もうしばらくは、旅先からの文章をお届けするつもりだ。